イベントレポート

資生堂が取り組むデータベースマーケティング [CODE CONFERENCE TOKYO 2015レポート]

a03_01資生堂ジャパン株式会社 デジタル事業部 オンラインショップグループ リーダーの小椋一平氏が登壇

2015年11月10日(火)に行われたCODE CONFERENCE TOKYO 2015では、いくつかの企業が、現場目線で自社の取り組みについて紹介するプログラムが設けられていました。その中の一つが、大手化粧品メーカーである資生堂ジャパンによるセッション。同社が2012年4月から取り組むECサイト「ワタシプラス(watashi+)」について、デジタル事業部オンラインショップグループリーダーの小椋一平氏に語ってもらいました。


資生堂の遺伝子を届けるために
自社ECサイトを立ち上げた

資生堂ジャパンでは、「ワタシプラス(watashi+)」というECサイトを2012年4月からスタートさせました。ここでは、ワタシプラスの取り組みを通じて考える「資生堂が目指しているところ」「資生堂が取り組むデータベースマーケティング」についてお話をさせていただきます。

2020年には20兆円規模にまで成長すると言われるECですが、果たしてこれは誰が伸ばすのでしょうか? そのプレイヤーが誰なのか、資生堂でも議論を続けてきました。現在、いろいろなECサイトが台頭しており、一方でメーカー直販のECサイトもたくさんあります。今後さらにナショナルブランドメーカーが自社ECに参入する際、そのメリットとは何なのか。それは会社のブランドへの考え方や、戦略によって大きく異なってくるでしょう。

資生堂ジャパンの場合で言いますと、145年の歴史がある会社で、ずっと「お客様一人ひとりをきれいにしたい」という目的で、お客様とで二人三脚で取り組んできました。そこが資生堂の遺伝子だからこそ、たとえ外部ECで商品が売れたとしても、その思いは届きにくいというのが課題でした。だからこそ、自社ECを持ち、一人ひとりに思いを持って提案できるようにしたいというのが立ち上げ理由なのです。

a03_02資生堂のECサイト「ワタシプラス」は会員数250万人を超えるまで成長

リアル店舗の強みを生かし、
5000万PV、会員数250万人のサイトに育てる

立ち上げ当初から、約2万店あるリアル店舗とウェブを融合させ、デジタルマーケティングプラットフォームを作る気概で取り組んできました。これは、今で言うオムニチャネルそのものなんです。当初から同じやりかたを想定していました。

「ワタシプラス」では、ただ商品を売るだけでなく、サイトを通じて美に関する相談は何でも受け付けています。ビューティーコンサルタントがいて、オンライン上で話ができるため、従来の資生堂の強みがきちんと機能しているのです。狙いは売上を上げるだけではありません。ウェブで集客し、彼らをさらにお店に集客して、最終的にはブランドを拡大すること。そのためのコミュニケーションに力を入れ、当初は月2500万PV、会員数100万人程度だったのですが、結果的には2014年度末には月平均5000万PV、会員数250万人まで成長させることができました。

ユーザーの中身を見てみると、まだ資生堂の商品をご利用してくださっている方のうちの58.2%は「ワタシプラス」を利用してもらえていませんので、そこが増えていくのかどうかを一つのポイントと考えています。商品で見ると、ドラッグストアなどセルフで購入しやすいものほどECの利用率は上がり、逆に専門性の高い商品は利用率がぐっと下がっていることがわかります。

ここまでの取り組みを振り返ると、やはりメインはリアル店舗で、ECだけで何かを変えることは難しいのかなと感じています。ですから、ECによってどのような価値を提供していくのかについてはきちんと考える必要があると思います。

ブランドプロモーションの強化についてもフレキシブルにやっていますが、元々のブランドが行っているものと同時に走るとお客様を混乱させることになる懸念もあります。よって、従来のブランドの価値観にしっかり沿うもので、リアルと連携していくことで、ブランドを高めためのアプローチが必要だと考えてます。ECとリアル店舗のどちらで買い物をするかはお客様に選んでもらい、我々がやることはこのオムニチャネルをもっと強化していくということです。

 

大事なのはマーケティングの探究心。
もがきながら模索していく

最後にデータベースマーケティングについてですが、「ワタシプラス」ではSalesforce Marketing Cloudに取り込み、各種分析ツールを活用する方法をとっています。キャンペーンマネジメントツールの導入については、メール、それでダメならLINE、さらにはFacebook広告、アドネットワーク……というふうに、一人のお客様に合わせてシナリオを構築して展開するようにしています。

導入の背景としては、そもそも資生堂はたくさんのブランドを持っているため、最適なブランド体験をしてもらうためには、マルチチャネルかタイミングでアプローチするかのどちらかのオートメーションツールがないと整理がつかないからです。

また、DMPについては、RtoasterやYahoo!DMPなどを活用しています。様々なテクノロジーがあるので、そこをうまく組み合わせて使っていこうと考えて選定しています。

今後の課題としては、データインフラの整備、仮説と有効な打ち手の構築、PCDAスキームの構築、そしてそれらのためのリソースの確保だと考えています。大事なのはマーケティングの探究心を持つこと。デジタルを活用したブランドマーケティングを、もがきながらも模索していきたいなと考えています。

〈登壇者プロフィール〉
小椋一平(おぐら・いっぺい)

資生堂ジャパン株式会社 デジタル事業部 オンラインショップグループ リーダー。経歴:1994年 資生堂入社 資生堂販売(株) 富山支社 配属 化粧品専門店 営業担当。1999年 資生堂販売(株) 北東京支社 資生堂販売(株) 首都圏第一営業本部 GMS(イトーヨーカドー様など)営業担当。2003年 (株)エテュセ 国内・海外カウンタービジネス総括。2010年 (株)資生堂 ワタシプラスサイト開発部門に配属。2012年4月にサービスをローンチ、現在に至る。

(撮影:松谷祐増)

CATEGORY:イベントレポート

DATE:2015-12-08

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