イベントレポート

これからの動画マーケティングを考える~「動画」という手法の可能性と未来~イベントレポート


 
日本における総広告費は6年連続でプラス成長を続けていますが、中でも好調なのがWEB広告の領域です。その成長を押し上げているのが、モバイルシフトによる動画広告の存在です。

今回は、「動画の世界を変える。動画で世界を変える。」のミッションを掲げ、動画マーケティング、動画メディア事業を手がける株式会社Viibar代表取締役の上坂優太氏と「広告・マーケティング業界に【ビデオリリース】という商習慣を創る」を掲げ、累計1,000本以上のビデオリリース制作配信を行っている株式会社NewsTV代表取締役の杉浦健太氏をお招きし、「動画とテレビ」「市場」「未来」などをテーマにたっぷりと語っていただきました。

テレビというメディアは今後なくなってしまうのか!?


 
BUDDYZ 来場者の皆さんからお2人への質問を募集したところ、多かったのが「マスメディアと動画の違い」についての質問でした。そこで2人にお伺いしたいのは、テレビは今後どうなっていくのか、ということです。

杉浦氏 テレビは残るでしょうね。うちの制作チームはテレビ業界の出身者が多いので話を聞くんですが、予算がなくなっているのは間違いないようです。ただ、圧倒的なリーチ、そして“ものが動く実感”というのはテレビに勝るものはないと。ですから、テレビが良いとか悪いとかではなく、手段としてのテレビ、つまり「どういう目的を達成するために、どう使っていくか」という視点で見る必要がありますね。

上坂氏 私も杉浦さんと同じく、テレビは残り続けると思っています。一方でテレビを見ない人が増えているのもまぎれもない事実です。そういう意味では、年齢や地域などの区分でテレビを見る人と全く見ない人に二極化が進行していきます。よくテレビとネットをゼロサムで語ることがありますが、そういう関係ではなく並存するということなので、その中で両者がどう補完していくのかという視点で見る方がいいと感じています。

杉浦氏 「テレビは効く」という話は、地方にいくと根強くありますよね。

上坂氏 よく聞きますし、実際そうですよね。

杉浦氏 たとえば地方でコミュニケーションをとりたいクライアントさんの場合、地域を絞って数百万円のウェブ広告を作るのであれば、同じ額を使ってテレビで流す方が圧倒的にいいという話もありますね。

上坂氏 先日さとなおさんとお話ししていて聞いた話なんですが、電車に乗っている人って圧倒的に東京の人なんですよね。電車の中で暇つぶしに携帯でネットを見ている光景、東京にいると当たり前なんですが、全国的に見たら異常だと(笑)。その点、ほとんどの地域は車移動が多くなるわけで、車中でラジオを聞くとか、家に帰ってとりあえずテレビつけてという習慣が根強く残っている。そういう事実にまだまだ目を向けないといけないのかなと。

杉浦氏 映像の歴史的を遡ると、最初は映画で始まっていて、映画の盛り上がりの中からスターが生まれたりしているんですね。その後にテレビが出てくるわけですが、当時は映画の人はテレビを馬鹿にしていたんです。そうしたら、テレビがマスメディアの中心になった。その後、ネット動画が出てきたときに、テレビの人はネットを馬鹿にしたじゃないですか。

BUDDYZ 歴史は繰り返すんですね(笑)

杉浦氏 でも未だに映画はなくならないし、全部が共存している。そういうことだと思うんです。
 

ライブコマースを一つの突破口に新たなビジネスが生み出せないか

BUDDYZ 動画の中でも、たとえば「ライブコマース」についてはどのように捉えています?

上坂氏 うちではライブではないですが、動画メディアからコマースへ繋げるトライはやっています。

杉浦氏 やってみて、実際どうなんですか?

上坂氏 実際に購買してくれます。ただ、ビジネスモデルとしてのスケールを考えていくと自分たちでリスクをとって在庫を多く積むとか、プライベートブランドを作っていくとかそういう仕掛けが必要になります。それでもバーティカルなメディアとコマースの相性は非常に良いと思っているので継続的にチャレンジしていきたいと思っています。「バーティカル動画メディアとD2C」の組み合わせで需要の発見から購買まで一気通貫で完結するような体験は面白いと思っています。

杉浦氏 私はもうちょっと様子を見ようかなと思っているんですよ。

BUDDYZ プラットフォームも少しずつできてきましたよね。

上坂氏 ライブコマース自体が若干バズワードのようになっていると思うのですが、一口に言っても、何を売るかで全然見方が異なると思います。モノを売るのか、SHOWROOMさんみたいに投げ銭などコミュニケーション自体を売るのか、そちらは原価がかからないので筋がいいというか、普通に儲かりそうなビジネスだなあと見ています。

BUDDYZ ライブコマースが盛り上がる理由として、中国の話がありますよね?

上坂氏 中国はリアルの店舗が日本ほど充実していないのもありEC化率が日本の倍近くあります。だから、中国の同じモデルを移植すれば日本で立ち上がるかというと、それは違うと思います。日本独自のライブコマースという方向にいくのではないかと思っています。

杉浦氏 中国の会社で6億円くらいを調達した会社があるんですが、それがちょっと気になっているんです。インフルエンサーみたいな人がアメリカの一流ブランドのショップで商品を紹介しながら売っていくみたいなビジネスをしていて、そもそもそういうことをやっている会社が6億円も調達しているということが面白いというか。

ユーチューバーやインフルエンサーをいかにビジネスに仕立てていくか


 
BUDDYZ 今、インフルエンサーというワードが出ましたが、UUUMさんがプロダクションをやったりするなど、いろいろなところでインフルエンサーの存在感が増してきているように感じます。お2人は、ユーチューバーとかインフルエンサーは今後どうなっていくと思われますか?

杉浦氏 すごく可能性のある領域ですよね。ただ、あれはタレントが形を変えただけだと思うんです。

BUDDYZ というのは?

杉浦氏 従来だと、商品のイメージに合うタレントさんを連れてきて、メディアを探してきて、タレントさんのパワーにリバレッジをかけて広げていくというやり方でしたよね。それが今は、メディアを介さず直接ユーザーさんとつながっていける構造になっただけでしょう。だから、「直接消費者に訴えていけるタレントさん」という印象で捉えています。

上坂氏 僕はすごいなと思っていますね。杉浦さんがおっしゃるのもそうですし、もっと新しいパワー、それはインターネットのパワーということなんですが、発信力やブランド力というのが個人にどんどんシフトしていて、それが表出しているひとつがインフルエンサーだと捉えています。だから、今後ももっと増えていくでしょうね。

一方で興味があるのは、それをどういうふうにビジネスに仕立てていくのかということです。インフルエンサー影響力をどう保存・担保していくかがビジネス化のポイントだと思うので、個人だけだと炎上などのリスクが大きい中、どのようにブランドやIPなどと組み合わせていくのかがカギになりそうな気がします。

YouTubeも潮目が変わっていきそうですよね。これまではユーチューバーが好き勝手やっていて、そこにアテンションが集まり広告価値が出る。数が重要なのでリーチが重要な指標になっていた。ただブランドは急速にブランドセーフティを意識し始めていますし、今後は単純なアテンションの数ではない、深さを持っているユーチューバーやインフルエンサーが台頭していくんじゃないでしょうか。
 

広告枠に広告を流す時代は終わった

BUDDYZ せっかくなので、お2人が考える「動画の魅力」について伺いたいです。

杉浦氏 私は「正解がないところ」が面白いと思っています。まだ誰も「これをやれば勝てる」みたいな方程式を持っていないんです。リスティングとかDSPだと大枠の方程式ができ上がっていて、あとはその精度をどう高めていくかという運用のフェーズに入ってきていますが、動画にはまだそれがないということです。指標という点でも、現状だと視聴回数、完全視聴回数、態度変容率、あとは実際にどのくらい人が動いたかくらいしかないですが、もっとあると思うんですよね。

BUDDYZ なるほど。

杉浦氏 うちでは1秒ごとの離脱率を動画ごとに全部とっていて、どういう絵が入ると人は見なくなるのかとか、どういうストーリーの構成だとミスるのかを、1200本くらいデータ化しているんです。だから、そろそろ正解が見えてくるんじゃないかなって思ってやっているんです。

BUDDYZ 上坂さんはどうですか?

上坂氏 動画と聞いた時に、私、杉浦さん、今日来ている会場のおそらく全員で、ちょっとずつ定義が違うはずなんです。なので動画の魅力と言われた時に非常に難しいのですが、それでも共通して皆さんが感じているのがマーケットが急速に伸びているということだと思います。通信環境だったりデバイス、プラットフォームなどのピースが揃ってようやく動画が来ているという、この来ていることが最大の魅力だと思います。

この先、メディアや広告、コンテンツ、制作会社、放送局のような機能別の枠は徐々に壊されていってデータを軸に再編が進むと思います。それから放送とインターネットの垣根もますます小さくなっていく。こんな大きな変化がある中で勝負できるのが動画の魅力だと思います。

杉浦氏 私がよくクライアントのところで話すのは、「広告枠に広告を流す時代は終わりました」という話なんです。広告枠に流すのはコンテンツだと。みんな広告を流さないといけないと思っているわけですから、そこにビジネス的な面白さは見出せると思いますね。

上坂氏 広告のままだと見てもらえないですからね。

杉浦氏 そう。バナーは広告だと思って飛ばされるというようなことが、特に若い人の間では起こり始めていますからね。だから、どうコンテンツで勝負していくか、みたいなところは今後キーになっているのかなと思います。

上坂氏 ユーザーにとってはそれが広告かコンテンツかというのはどっちらでもいいということだと思います。大事なのは、その人にとって価値があるかどうかじゃないですか。そこを突き詰めていくと、ユーザーベネフィットを提供できるコンテンツを届けることがマーケティングには必須になるということだと思います。当たり前の話なのですが。

動画マーケティングは今まさに「解」を模索しながら成功事例を生み出している最中なんです。ぜひ若い人を中心にそういう環境に飛び込んできてもらって、一緒に見出していけたらいいなと思いますね。

杉浦氏 たとえば今からリスティングを極めようと思っても、既に数万人の競合がいるはずです。でも今、動画を本気でやっている人は日本で数百人レベルじゃないでしょうか。その差は大きいですよね。それに、これからウェブ動画からもっと代表的な事例が出てくる時代になっていくでしょうし、楽しみです。

参加者からの質問タイム


 
今回もエントリー時に「お2人に聞きたいこと」を募りましたが、後半では直接質問できる時間も設けられました。その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

Q.お2人が最近見たウェブ動画の中で、クリエイティブの観点で興味を持ったものがあれば教えてください。

上坂氏 自社のものでいうと、ちょっと自慢が入っちゃいますが(笑)、昨年、ライオン株式会社さんの「ライオン賞」をいただいた、クリニカキッズの動画ですね。非常に反響が大きく、歴代マスコミの方が受賞されることが多い中、初めてデジタルの会社で賞をいただけるほど高く評価いただきました。ユーザーとの共感を生むことがテーマです。

ママがお子さんに歯磨きをさせる時、子供が嫌がるものなので、ならばと逆転の発想で、子供がママの歯磨きをするということをやりました。スタッフが撮影前にテストをして、実際にどんな反応をするのか見てみると、子供がママの歯磨きをした瞬間、お互いが笑顔になって、歯磨きは親子が向き合う時間だということに気づきました。共感から逆引きしていくという、うちらしい動画ができたと思います。

杉浦氏 ではうちも自社のものを。紳士服のコナカさんのオーダースーツブランド「DIFFERENCE(ディファレンス)」という新サービスの動画です。プロデュースは佐藤可士和さんで、1回目だけ採寸したら2回目からアプリでスーツが頼めるというサービスで、プロモーションはPRとNewsTVしかやらないというふうに言ってくれたんです。

結果的にはすごい集客があったみたいで、予約もたくさん入ったとのことなんですが、この件で感じたのは、「情報の流れが変わったな」と思えたことなんです。クライアントのいい商品を的確な情報にして的確なターゲットに当てれば、ものが動く時代だということがわかったと。これまでだと、OOHを出したり、チラシや雑誌広告を出したりといったことが当たり前でしたが、この案件ではPRとNewsTVだけでそういう状況を作れていたということで、ちょっと潮目が変わったなということを感じました。

Q.映像で広告メディアを作るにあたり、絵コンテは最初に書くものですか?それともクライアントのニーズを台本みたいに文字にしてから進めるのでしょうか? また、動画メディアを作るうえで、決まったカット割や、フレームワークみたいなものはあるものなんでしょうか?

上坂氏 もちろんスマートフォンで視聴しやすいフォーマットや、ティップスはあります。特に冒頭のアテンションの取り方や、ストーリーの構成順序、テロップの使い方などはスマホ動画ならではの方法論があります。

ただ、「フォーマットがどうだ」という話は、マーケティングで言われる「How to say」の部分なのでその前に「What to say」が大事なります。つまり“何を語るか”が最も重要であり、それは映像でも動画でも変わらないと僕は思っています。だから、フォーマットやフレームワークももちろん大事ですが、その前にユーザーに何を伝えたいかをシャープにできてこそ、その語り口としての表現に落ちると思います。ですので、動画広告にしても、もちろんいきなり絵コンテから書くことはないですね。まずはユーザーを知ることから始める。伝えたいメッセージを明確にしてからコンテに落としていくという順序です。

あとは動画では視聴デバイスだけでなく配信プラットフォームによっても最適なコンテンツのあり方が変わります。YoutubeであればTrueViewやバンパーのようにプリロールですけどFacebookやInstagram、Twitterのようにタイムラインのプラットフォームだとインフィードになります。冒頭でアテンションを取らないと視聴維持しないのは共通ですがユーザーの視聴態度や異なりますのでそれぞれ最適化が必要です。音声をONにしているのもYoutubeのほうが高いです。と、プラットフォームごとへの最適化などテクニカルな話はあるものの、「What to say」が何より大事ですよということは強調しておきたいです。

BUDDYZではこれからも、広告・PR・デジタル業界で働く方、目指す方を対象としてイベントを開催する予定です。ご興味のある方は、ぜひご参加ください。皆様にお会いできることを楽しみにしています。

Profile
◆杉浦 健太(株式会社NewsTV 代表取締役)
早稲田大学法学部卒。株式会社ベクトルに入社後、サイバーエージェントの子会社の立ち上げを経て、2010年に独立。独立後は複数社の経営を行う。2014年にベクトルとマイクロアドの合弁会社ニューステクノロジーの立ち上げに伴い再度ベクトルにジョイン。2015年よりNewsTVの経営に携わる。

◆上坂 優太(株式会社Viibar 代表取締役)
1984年静岡県浜松市出身。学生時代はドキュメンタリー映画の制作に没頭。卒業後は映像クリエイターとしてドキュメンタリー番組等の制作に携わる。その後、楽天株式会社に転職し、楽天グループのマーケティングを担当。クリエイター時代の課題意識から2013年4月に株式会社Viibarを創業。

CATEGORY:イベントレポート

DATE:2018-05-11

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