コラム

広告業界の90年代と現在、就活生の違いとは?


広告業界は、普段の生活の中で見かけるCMやポスター、イベント、ネット広告などを取り扱っています。そのため、「代理店」という本来裏方に徹する業界であるにも関わらず、就職活動生や転職希望者に人気の高い業界として知られています。特にまだ実社会に出ていない就活生にとっては、憧れの職業です。

大きなイベントや人気映画、好きな俳優のCMなどで、実際に大手広告代理店の名前に触れた学生は多いでしょう。業界自体がテレビドラマや映画の題材になることも頻繁にあります。そうしたイメージから「なんとなくカッコいい」「クリエイティブな仕事をしたい」といった思いを抱き、広告業界を志望する学生は、いつの時代も大勢いました。

志望者の多さは昔も今も同じですが、例えば現代の学生と90年代の広告志望学生とでは、スタンスがかなり異なっています。世相を映しやすい業界だけに、広告志望学生の今昔を比べておく事は、これから業界を目指す就活生に役に立つはずです。今と昔で大きく違っていた代表格が、リクルートスーツです。

現在の広告業界志望の就活生は?

現在の就活は、アパレルメーカーが最初からリクルートスーツと銘打って販売しているものを着て、各社を巡ります。街中で黒の定番スーツを着ていれば、「あ、就活生だ」と分かる程、リクルートスーツは規格が定まっています。90年代は違いました。リクルートスーツとして販売されていたものもありましたが、定まった規格は無く、色も今より幅広く選べました。女性のリクルートスーツの中には、グレーや紺のほか、白やピンクまであった程です。90年代は「人とは違うところを見せるのが広告業界に入る近道」と考える学生が多くいました。ですからあえて目立つスタイルを選んだ学生たちが集まり、集団面接の会場は色とりどりのスーツがひしめき合っていたのです。

現在でもユニークな面接やインターンシップを行っている広告代理店はありますが、リクルートスーツのスタイルは隔世の感があるといえるでしょう。

また、面接に臨む学生の対応も大きく違っていました。90年代には、メセナと呼ばれた企業の社会貢献活動の中に、学生のクリエイティブ活動を支援するものが多くありました。イベントプロデュースや実際の企業広報への参加といった活動です。広告志望学生の大半がこれらの活動に加わり、実績を重ねて面接の自己アピールにしていました。現在のインターンシップと似ていますが、メセナ活動はその企業への就職を前提としていない点が異なります。例えば大手子供服メーカーのメセナ活動に参加しても、就活は広告業界専門に行う学生がほとんどでした。

90年代の広告業界志望の就活生は?

一方で、90年代に定着した「広告業界=クリエイティブ」のイメージは、少々行き過ぎた傾向がありました。学生の大半が「キャッチコピーを作りたい」「広告をデザインしたい」と、クリエイティブ部門ばかりを志望していたのです。地道な事務仕事やクライアントとの粘り強い交渉といった、代理店本来の業務が後回しに考えられる状況が生じていました。そのため、90年代の就活はメリットも多かった半面、企業にとっては費用対効果が薄く、よりスマートな人材需要のマッチングが進められて現在のインターン制度に辿り着いています。メセナ活動がない現在の広告志望学生は、まず代理店のインターンシップに入る事を目指す訳で、やっている内容は似ているものの、その入り口が変わってきたと言えるでしょう。


志望者が多い業界だけに、就活前からある程度の勉強と自己分析、経験が必要になる点は、今も昔もそう変わりません。ただ、90年代当時のクリエイティブ偏向の志望動機は、大きく見直されています。

昔とは違う選考理由

90年代にイメージされた「人とはちょっと違った考え方を持っている」「学生ながらすでに業界の経験を積んでいる」といった就活アピールは、現在では2番目3番目以下の選考理由になっています。広告業界だからといって、ほかの就活生が取り組んでいる自己分析や業界研究、OB・OG訪問などを疎かにしていい理由はありません。むしろ90年代の反省を活かして、「本来やるべきことをきちんとこなせる」ところから選考が始まっていると考えた方がいいでしょう。90年代のユニークかつ意欲的な学生たちの取り組み自体は、その後の広告業界にプラス面をもたらしています。問題だったのは志望動機のアンバランスで、業界全体がクリエイティブ部門に偏り過ぎてしまった事から、現在の就活の流れが生まれてきたのです。

クリエイティブな発想や仕事への意欲は、今も昔も変わらないどころか、ネット広告時代を迎えて益々必要とされてきています。ですから今後必要とされるのは、事務仕事だクリエイティブだと自分で垣根を作らない、これまでの発想を上回って活躍できる人材です。90年代のカラフルなスーツを着ていた時代には、「就活」の言葉自体存在しませんでした。20年後には、また違う就活スタイルが登場してくるでしょう。そんな次の時代を先読みできる活力と、地道な就活を乗り越えられる胆力の両方が、広告業界で働くために必要とされています。


業界トップランナーによるトークセッションや、業界横断でネットワークを広げられ、ビジネスマッチングの機会にもなる交流パーティーなどのイベントを開催。毎週開催中!コミュニケーション業界人のための学びと交流プラットフォーム

【広告・PR・デジタル業界】交流会・セミナー・トークショーは、『BUDDYZ』にご参加下さい。

CATEGORY:コラム

DATE:2018-02-27

TAG: